研究内容


Cyber-Physical Computing Lab.

情報(I: Information)と電気電子(E: Electrical/Electronics)の融合に基づく「新しいコンピュータ・システム・アーキテクチャの創成」と、圧倒的なコンピューティング・パワーを活用した「各種社会問題の解決(エネルギー枯渇問題やサイバーセキュリティー問題など)」を目指しています。実世界で生成された大量データに対し、実世界で活用されるための情報を、サイバー世界で極めて効率良く処理する「サイバー・フィジカル・コンピューティング」のあるべき姿を探求するとともに、実社会での活用を見据えた応用技術を開発することが我々の目標です。

井上研究室

Next Generation High-Performance Computing

これまで,コンピュータ・システムは半導体の微細化技術の継続的な発展を拠り所として目覚ましい進化を遂げてきました。その結果,一昔前のスーパーコンピュータと同等の性能をポケットサイズのスマートフォンで実現できるほどになりました。しかしながら,半導体の微細化もついに限界が見え始めており,このままだとコンピュータの進化が止まってしまいます。その一方,人工知能技術の飛躍的発展と普及に伴い,コンピュータ・システムの抜本的な改革が求められています。この極めてチャレンジングな課題を解決すべく,10年後を見据えた新しい動作原理に基づく次世代コンピュータの研究開発を行っています。新デバイスを専門とする研究者と連携し,これらのデバイスを利点を最大限活用するとともに欠点を隠蔽する新アーキテクチャ技術を探求します。

① 超伝導コンピューティング:現代の最新マイクロプロセッサの動作周波数は2〜3 GHz程度です。本研究では,その30〜50倍,すなわち,未だ世界的にも達成できていない 100 GHz を超える次世代マイクロプロセッサの実現を目指しています。これまでに,我々が考案した新しいアーキテクチャに基づく演算回路の実証に成功しました(約50GHz@5mWで動作する乗算回路など)。今は,これをマイクロプロセッサへと発展させる活動を行っています。また,超伝導状態で動作する超高速AIプロセッサの研究開発も行っており,機械学習と新デバイスを繋ぐ新方式の確立を目指します。

② 光コンピューティング:人類の夢である光速で動作するコンピュータの実現に向けた研究を行っています。光コンピューティングの歴史は古いのですが、今は大きく状況が異なっています。それは,シリコンフォトニクスやナノフォトニクスの技術が進展し,大量の光素子を集積することが可能となってきた点です。その結果,大規模かつ超高速な光コンピュータの実現がついに可能になりつつあります。本研究では,現代のコンピュータとは一線を画す新しい光電融合型コンピュータ(特に,AI処理など用途に特化した新アクセラレータ)の実現を目指しています。

③ 量子コンピューティング:現代のコンピュータでは実現し得ない圧倒的性能の可能性を持つ情報処理形態として量子コンピュータが世界的に注目を集めています。しかしながら、量子コンピュータの研究はまだまだデバイスレベルが主流であり、「コンピュータシステムとして構築するためのアーキテクチャ技術」は未開拓の領域です。また,量子コンピュータには多くの欠点が存在するのも事実です。そこで本研究では,現代コンピュータと量子コンピュータを融合したハイブリッドアーキテクチャを探求しています。

Next Generation Embedded Computing

我々の日常生活はコンピュータシステムに支えられています。特に,自動車やスマートフォン,家電製品など,様々な身の回りのシステムに内蔵されるシステム(組込みシステム)は今後ますます重要になってきます。このような組込みシステムでは,アプリケーションからの要求を満たすための性能だけでなく,低コスト化,低消費電力化,安全性の向上,信頼性の向上,など,様々な制約を満たさなければなりません。このような課題を解決すべく,書換え可能な「やわらかい」ハードウェアであるFPGAを用いたアクセラレーション技術,挙動を監視し認められたプログラム「だけ」の実行を許可するセキュアプロセッサ・アーキテクチャ,QoS(Quality of Service)を満たす上で「敢えて」計算の間違いを許容することで圧倒的な高性能化や低消費電力化を実現するアプロキシメート・コンピューティング技術,無線通信における電波伝搬特性を用いたデバイス認証技術,電力効率の高いAI処理アクセラレータ,など,次世代の組込みシステムを支える様々な研究開発を行っています。

IoT Computing

今後の情報化社会は大きく変わります!特に,自動運転やドローンの普及,ウェラブル・コンピューティングなど,より我々の生活に密着した新しい次世代アプリケーションが誕生するでしょう。その全てにおいて,現実世界から情報をセンシングし,その時,その場で、高度な情報処理を施すエッジ・コンピューティングが極めて重要となってきます。本研究テーマでは,ドローンなど具体的なアプリケーションを設定し、アプリケーション特性を考慮した上で、時間的/空間的な利用環境の変動にも追従できるコンピュータ・アーキテクチャを探求します。また,IoTシステム開発コストを圧倒的に削減し,IoTシステムの普及を施すための技術開発も行っています。

小野研究室

IoTシステムのセキュリティ技術

IoTシステムのセキュリティを向上させるため,ハードウェアによるセキュリティ対策技術に関する研究を行います.CPUなどのハードウェアを対象にセキュリティ技術を導入することで,マルウェアを実行させない,または,仮に実行しても早期に発見対処する技術の確立を目指します.具体的には,機械学習による動的マルウェア検出技術や,仮にマルウェアに感染しても他に被害を拡大させないために安全に機能を停止する技術に取り組みます. さらに,より堅牢なIoTシステムの実現を目指して,メモリへのアクセス情報を秘匿する技術にも取り組んでいます.通常,メモリアクセス情報の秘匿には性能や電力の犠牲が伴います.モバイル端末など低電力動作が求められるIoTシステムにおいて,性能・電力オーバーヘッドが低いメモリアクセス秘匿技術の実現を目指します. また,これらのハードウェアセキュリティ技術は自動運転車両へ適用して実証実験を行う予定です.

IoTシステム・アーキテクチャの探索

近い将来,半導体の微細化技術は限界を迎えます.つまり,今後は微細化に頼った性能向上や低消費電力化には限界があることを意味しています.現在,様々な新デバイスの研究開発が進められており,今後はIoT機器からデータセンタ,スーパーコンピュータに至るまで,新デバイスが利用されることが予想されます.本テーマでは多様化が進む様々なデバイスの特性に応じてIoTシステムへの適用を検討し,適切に利用するための方法やアーキテクチャを研究します.